「14歳の栞」
映画「14歳の栞」予告 -90秒編-(2022年再上映ver) - YouTube
ご存知ですか?
2021年に公開されたこちらの作品は、公開から3年経った今現在でも配信、DVD化などが一切されておりません。
公開当時から、ずっと観たい作品だったのですが、色々とタイミングを逃してしまい、今年の再上映でやっと観に行けました。
現在、渋谷のシネクイントにて、1日1回のみの上映。席は毎回完売してるみたいです。凄いね。
劇場で配られたチラシにはこんな注意書きが。
「この映画に登場する生徒たちは、これからもそれぞれの人生を歩んでいきます。
SNS等を通じて、個人に対するプライバシーの侵害やネガティブな感想、誹謗中傷を発言することはご遠慮ください。どうかご協力をお願い致します。作品自体に関しては、自由にご感想を頂けますと幸いです。」
DVD化や配信をされない理由はこういうことだったのですね。
映画の内容は埼玉県 春日部市にある中学校の2年6組の生徒35人に密着したリアルドキュメンタリー映画。
学校には、クラスのムードメーカー的役割の生徒、不登校の生徒、いつも一人ぼっちの生徒、恋をしている生徒、身体が不自由な生徒、別に何も楽しくない生徒。彼ら一人ずつに密着していく中で、様々な感情を持つ彼らに、かつて中学生だった僕を含めて、誰もが誰かに感情移入してしまいます。そして、14歳だった時を思い返し、たった2時間だけ、あの頃にタイムスリップした気分になれるのです。生涯において、このような映画体験は今後訪れないでしょう。
14歳はもう大人だという子がいる反面、早く大人になりたいという子がいる。ずっとこのクラスが良いと思う子がいれば、早くクラス替えをして欲しい子がいる。みんな仲が良いと思えば、自分だけいつも一人ぼっちという子もいる。観客は、彼らのほんの一部分しか見てないのに、彼らの事をまるで理解したかのような気にさせてしまう構成は見事でした。監督の手腕ですね。
泣いてる方も何人か居ました。勘ではありますが、生徒の誰かに自分の思春期を重ね合わせた事による涙なのかと思います。僕自身も何故か分からないけど、泣きそうなシーンもありました。
このような繊細な映画が今の時代において、配信等でインスタントに消費されてない事が、何より良い事だと思います。3年経った今でも劇場で観るしか方法がありませんし、それでこそ成り立つ映画です。僕はもうこの映画を観ることは今後ありません。たった一度だけ、彼らのかけがえのない青春を見れたが故に、自分の中で大切な映画になりました。是非、近所の映画館で上映されるタイミングがあれば観に行ってみてください。